海軍兵用食器セット





DSC_0760.jpg

かつて日本海軍においては、待遇面において士官と下士官・兵のあいだに大きな違いがありました。
例えば食事のさいに使う食器を見ても、士官は和・洋で異なる多くの種類の食器を使っていたのに対して、下士官・兵は基本的に1セットのみ。

しかし、そんな兵用食器セットでも決しておざなりに作ったものではありません。
和・洋どちらにも対応できる構成で、しかも扱いやすくコンパクトに収納できるという、非常に考えられた食器セットだったのです。

この兵用食器セット、当初は鉄を芯材とする琺瑯引きだったのですが、太平洋戦争の進捗にともなう物資および熟練工不足のあおりを受け、昭和19年から一部でアルミニウムのプレス加工品が使われるようになりました。

終戦後、これらの多くは一般に放出されて戦後混乱期の食卓を彩る存在となったのですが。
でも、戦争末期に使われたアルミニウム製海軍食器は多くが復興のための資材としてリサイクルされ、現在では古道具の世界でもめったに見ることができない幻の食器セットとなっています。

今年2月に開催された「ワンダーフェスティバル2016冬」、江戸まとい&甲飛喇叭隊第十一分隊様ではこちらのアルミニウム製兵用食器セットの復刻版を販売され、各方面からとても大きな反響がありました。

そして今回、「コミックマーケット90」。
スタジオゴンドワナ&ガレージのき☆したでは、こちらの兵用食器セットを特別に再生産していただき、会場100セット限定で頒布させていただきます!

DSC_0767.jpg

こちらのセットは4枚で1セットとなっています。

まずは左から、食器碗・小。海軍では一般的に「湯呑」と呼ばれていました。
その名の通り、お茶など飲み物を入れるためのもの。
サイズは直径約12cm、高さ約5cm。

続いて右は食器碗・中。こちらはご飯物をのせるための「飯碗」。
直径約14cm、高さ約5cm。
毎食2合と定められていた麦飯を盛り付けたら、日本昔ばなし状態になること請け合い。

DSC_0766.jpg

左は食器碗・大。味噌汁などの汁物を入れるためのお碗で、「汁碗」と呼ばれていました。
直径約15cm、高さ約5cm。
熱々のスープなんか入れたら持つ手も熱くなりそうだけど、軍艦じゃ烹炊所から居住区まで運んでくるまでに適度に冷めてるので問題なし(?)

最後は食器皿。「菜皿」と呼ばれ、おかずを入れるお皿です。
直径約16.5cm、高さ約3cm。
カレーやシチューなどの汁物系おかずだった場合には、汁碗を使わずこちらに盛ることも多かったみたいですね。ちなみに、そんな場合でも下士官・兵はスプーンやフォークを使わず、すべてお箸で食べていました。

DSC_0769.jpg

4枚とも、底には当時の海軍の様式にのっとって「桜と錨」のマークと製造メーカーが打刻されています。
この打刻のためのポンチ、一品物のため特別に作ってもらうとすんごくお高いのです……!

なお、耐腐食性や耐摩耗性を高めるための表面処理は、当時と同じシュウ酸アルマイト処理。
この鈍く輝くゴールドがその証!

DSC_0772.jpg

こちらのセットは、写真の不敷布でつくられた収納袋につめ、さらに海軍食器にまつわるコラムやれつまる氏のイラスト等を収録したミニ冊子を添えてお渡しいたします。
不敷布袋はグリーンとオレンジの2色ありますが、色はお選びいただけませんのでご了承下さい。


なお、前回の冬コミで頒布しました弁当箱と同じく、梅干などの酸性度の高い食べ物には十分にご注意を。
使い込んでいるうちに表面のアルマイトがはげてしまい、そこから浸潤してアルミが溶けてきちゃいますので。


海軍兵用食器セットのグッズ頒布は、こちらの皆様のご協力により実現しました。
本当にありがとうございます!

株式会社江戸まとい様 http://www.edomatoi.jp/

甲飛喇叭隊第十一分隊様 http://11division.info/